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2022.01.20【お役立ちコラム】子育てに「音楽のちから」を活用しよう!(後編)

コラム

株式会社Wellone’s取締役 Leaf音楽療法センター長 武知 治樹氏による
「子育てに「音楽のちから」を活用しよう!(後編)」

前編では、
音楽療法士とは治療や予防、療育、課題の解決などに向けて「音楽を活用」する仕事であり、その為に「音楽の力」を理解し、訓練していることを教えていただきました。

日常生活の中で当たり前に音楽を活用していることを再確認し、世の中は音楽で溢れていることを実感!

後編は子育てに活用している「音楽の力」についてのお話です。
思春期で子どもの心が見えにくくなってきた時に使える音楽の活用方法など素敵な内容になっています。

エルパでもよく「好きな音楽は何ですか?」とお聞きします。
その答えからパーソナリティを伺えて、ぐっと距離が近くなります。
音楽は時としてその人を映す鏡 ですね。

是非みなさんも「音楽の力」を活用してみてください♪



<「音楽のちから」が詰まっている子ども番組>

私は2歳児と0歳児の子育てをしています。
特に子育ての中で、私の重要な任務が朝と夕方の送り迎えで、朝は息つく暇もありません。
ここで大いに利用しているのが、NHKの子ども番組です。

子育て経験がある方で、NHKの子ども番組に助けられた、或いは助けられている方は非常に多いのではないでしょうか。
それはなぜでしょう?

答えは単純、
「子どもが夢中になって見てくれるから」。

子どもは音楽が大好きです。
特に音による変化やオノマトペを利用した歌詞、覚えやすいメロディーは、子どもの興味を惹きやすく、簡単にマネすることができ、「楽しい」と感じやすい。
そういった音楽が多様されている子ども番組は、子どもにとっての「遊び」を手助けしてくれ、親はその間に他の準備ができるようになります。

しかし、子ども番組のすごい所は、興味を惹く音楽だけではありません。
なぜなら、音楽だけでは子供の集中は続かないからです。

子ども番組は音楽と物語が交互に流れるように構成されており、尚且つ、音楽が流れる時には、子どもの興味を惹くような動きのあるダンスだったり、映像と、教育に役立つような歌詞で作られています。

そして、音楽一曲一曲は長すぎず、短すぎずという絶妙な時間配分で終わります。

代表的なものとしては、「おかあさんといっしょ」の中で定番となっている
「歯磨き上手かな?」
「パジャマでおじゃま」
といった曲がありますが、子どもが嫌がる歯磨きやお着換えを音楽を利用することでゲーム性を持たせ、「身支度」から「遊ぶ」という体験に変えてくれます。

遊ぶ中で達成感を持つことができるので、子どもは「遊ぶ」と同時に「身支度をすることができた!」と自信に繋がっていくのです。

これが、曲が短すぎると取り組もうとする前に音楽が終わってしまって、違うことに興味がうつってしまいます。
曲が長すぎると、「遊ぶ」が「身支度」となってしまい、「やっぱりやめた」に繋がってしまいます。

この絶妙な曲の長さに調整していることも実は音楽を利用するために重要な要素だったりもします。

子どもが集中しやすいようにできていることで、親はその間に家事や準備に時間を割くことができ、子どもは「できた!」と自信を育ててくれる素敵な音楽体験をすることができているんです。

これはまさに「音楽のちから」です。

<音楽で子どもの心に気づく>

しかし、NHKの子ども番組はそう長く持ちません。

幼児期から小学校、中学校・・・・となってくると、音楽を子育てに利用しようとしても、音楽の利用の仕方は大人とあまり変わらなくなっていきます。

子どもは思春期を迎え、大人との距離感が徐々に変わっていき、親との世界から外での世界に積極的に出ていくようになります。
親としては子どもが自分の手から少しずつ離れていき、コミュニケーションが少なくなっていくことに寂しい気持ちが残るかもしれません。
または、コミュニケーションを取っていても、子どもの心が見えにくくなっていくことに不安を感じることもあるかもしれません。

そんな時に音楽は「子供の世界や気持ちを教えてくれるツール」になります。

是非、お子さんに「好きなアーティスト」「好きな歌」を聞いてみてください。

そして、「どうしてこのアーテイストが好きなの?」「この歌のどんなところがいいの?」とちょっとだけ深く聞いてみてください。

ポイントはさり気なく、音楽番組を見ている時にでもちょっとだけ聞いてみることです。

私たち自身にも言えることですが、歌には自分の興味や関心、共感できるような内容や思想など、何か引っ掛かるものがあるから好きになり得ます。

好きなアーティスト、好きな曲を知ることは、その子の気持ちを理解するためのヒントを見つけることができるようになるということです。

「このアーティストを見るととてもキュンとする」
「恋愛ソングが素敵だから」
だとしたら、恋に興味があると想像することができます。
あまりにも失恋ソングを聞き入っていたとしたら、似たような経験を思い出しているのかもしれませんね。

「なんかカッコいい」
「すごく力強い歌詞がある」
だとしたら、そのアーティストのどこかに憧れをもっていたり、求めている強さを知ることができるかもしれません。

音楽は時としてその人を映す鏡です。
そこから想像することで、心のほんの一部を知ることができる可能性が詰まっています。

是非、ご自分のお子さんや、音楽教室の先生だったら生徒さんに、「好きなアーティスト」や「好きな歌」を聞いてみてください。
その音楽について想像することで、子どもの揺れ動く外の世界について、知る手掛かりになるかもしれません。

ただし、注意してください。
子どもにはそっと見守ってほしい心がたくさん詰まっています。

たとえ音楽といえど聞きすぎは、子どもの心に土足で入り込むようなものですから禁物です。

「あなたは〇〇〇なのね」と決めつけず、
「〇〇〇なところがあるのかも」と自分の心の中で感じてあげることにとどめておきましょう。

音楽で皆さんの子育てがちょっとでも楽になってくれたら幸いです。


株式会社Wellone’s取締役
Leaf音楽療法センター長 武知 治樹
https://leaf-mt-center.com/

株式会社Wellone’s取締役
及び同社が運営するLeaf音楽療法センターのセンター長
児童から高齢者まで幅広く、音楽を使った発達支援や健康サポートなどの音楽療法の提供
音楽支援専門士の教育、音楽療法啓発活動など多岐にわたって活動中
一般社団法人日本音楽療法学会認定音楽療法士・公認心理師・産業カウンセラーの資格を所持
同センターは、高齢者施設を中心に児童や高齢者の福祉分野で年間3.500回以上、延べ人数にして年間7万人以上に音楽療法を提供しており、人を音楽で支援するための養成講座を行っている