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2023.05.23【お役立ちコラム】音楽で実現する「優しい社会」~地域と繋がる精神保健福祉~(後編)

コラム

先月から2回にわたってコラムを担当して下さるのは、エルパにて様々な楽器レッスンを導入いただいている社会福祉法人陽だまりの会 理事長 福地 輝男氏です。

【お役立ちコラム】音楽で実現する「優しい社会」~地域と繋がる精神保健福祉~(前編)

音楽を軸に心の病とそれによる生きづらさ(精神障がい)を持つ方々を支援し、地域と繋がる活動を通して「優しい社会」つくりを行っている福地様が「なぜ音楽活動に力を入れているのか?」

「理解しようとする」
一人一人からこれを得る為の道のりは長いですが、音楽を通して地域と繋がることで少しずつ実現していく姿に感銘を受けました。
是非ご一読ください。

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社会福祉法人陽だまりの会 福地輝男です。
私たちは横浜市港北区・鶴見区で心の病とそれによる生きづらさを持つ方々(精神障がい者)を支援している法人です。

前編は「音楽」が繋ぐ地域の精神保健福祉の理解促進活動について、紹介させていただきました。
後編では、地域とのコラボレーションの様子をご紹介したいと思います。

令和4年は長い自粛生活に終わりが見えてきたこともあり、各地で地域イベントの再開が見られるようになりました。

私たちの街でも、待ちわびていた夏のお神輿やお祭りが実施されました。


(利用者や職員のみんなが神輿会や町内会の方々と一緒になってお神輿を担いでいます)

長い年月を重ねて陽だまりの会は地域へ根差していき、持ちつ持たれつ助け合いの関係を培ってまいりました。
コロナ禍で何年も延期になってしまいましたが、「陽だまりの会」の名前が入った半纏を作り、この日は初めて袖を通した特別な日でした。

改めてこの街の一員として認めてもらい、なくてはならない社会資源として大切にしていただいていることが伝わり、言葉にならない程の喜びを感じたことを覚えております。

夕方には、菊名神社例大祭のメインイベントである奉納演芸へ参加しました。


(神社のステージに立ち、たくさんのお客様の前でオリジナル曲を披露しました)

神社の周りには屋台も出店され、久しぶりのお祭りに菊名の街にはたくさんのお客さんが集まりました。
私たちは演目の出演だけではなく、奉納演芸全体の音響係として地域のイベントを支えることができました。

前編のコラムでもご紹介しました通り、オリジナル曲には、望まずして精神疾患になり、辛く理解されにくい障がいを抱えながらも、それを乗り越えながら生活を送る方たちの優しくて強くたくましい思いが表現されております。
「陽だまりの歌」
https://www.youtube.com/watch?v=NSNTy-q03Gs
「桜は唄う」
https://www.youtube.com/watch?v=Bb96oO4rRto

心の病とそれによる生きづらさは「誰もがなり得ること」であり、
だからこそ他人事でなく、病や障がいがあってもなくてもみんなで支え合い助け合い、そして回復し復帰できる、そんな<優しい社会>を作りたいという思いを伝えることができました。

演奏が始まると、お客さん達が足を止め、どんどんと増え、ステージの下はたくさんの人で溢れていました。
次第に手拍子が聴こえるようになり、会場が一体となった時の感動は今も鮮明に覚えています。

これまで、たくさんの誤解や偏見の目にさらされ、心ない言葉を投げつけられることも経験してまいりました。
人里離れた場所ではなく街の真ん中で暮らし働くことは、私たちの理念でもある「ふつうの生活」を実現するための譲れない思いが込められています。

世間では精神疾患や障がいへ対し「危ない」「怖い」といったイメージが先行し、
「あの事件はお前たちの関係者ではないか」
「この街から出て行って欲しい」
など訳もなく排除や敵意を向けられることもあり、悲しみや悔しさに気持ちがくじけそうになることが何度も何度もありました。

「知らないことは怖い」
「関係のないことへは関りたくない」
というのは人間の自然な感情だと思います。

しかし、繰り返しますがこの病は「誰もがなり得ること」です。
昨日まで排他的だった方やその家族が今日もしこの病をもつことになってしまったら。
その時はじめて社会が自分達を見る目を反対に「怖い」と思うことでしょう。

私たちは、「知らない」「怖い」から「理解しようとする」「思い合える」への橋渡しのため、地域の精神保健福祉の理解促進、困った時に相談ができて支え合うことができる地域づくりを目指し続けています。

その方法として「音楽」を選んだのは、
「言葉は苦手でも、音楽なら自己表現ができる」
「はじめましての人でも一体感が得られる」
世代や性別、文化、価値観で隔てずに活躍してくれるからです。

菊名神社例大祭では、
「この曲は誰の曲ですか?」
「感動して涙が出ました」と
関心を寄せ実際に話し掛けてくださった方が何人もいらっしゃいました。

正直に言うと、こんなにも反響があると思っておらず驚きました。

そして、この日ステージへ立つ勇気が持てず観客と一緒に手拍子をして静かに会場を盛り上げてくれたある利用者さんが、次の機会

にはステージへ立って仲間と一緒に歌を歌っていました。

その姿を見て、音楽がもたらす力や成長を目の当たりにしました。
音楽は人の心を癒し、音楽は人の心の成長に繋がり、音楽は人と人をつなぐ素晴らしい文化です。

私はさらに音楽が好きになりました。

エルパ様にご紹介いただいたボイストレーニング、楽器練習、PA指導が私たちへ勇気や自信をもたらしてくれております。

これからも、もっといろんな方に聴いてもらいたい、様々なジャンルの方々と共演したい、音楽を通して精神保健福祉の理解増進に貢献したいです。

このコラムを読んでいただき、私たちの思いが少しでも届きましたら、音楽を通して皆さんと交流を持ちたいです。
皆様からの感想やコラボレーションなどのご連絡を心よりお待ちしております!

社会福祉法人陽だまりの会
理事長 福地輝男
info@hidamari-group.jp
http://www.hidamari-group.jp/

「社会福祉法人陽だまりの会」公式チャンネル – YouTube
https://www.youtube.com/@user-hh9ph8cw9m/featured

理事長の福地輝男