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2021.05.27【お役立ちコラム】ミリオン作曲家 成瀬英樹の「いつの時代でも活躍できる」秘談(3)

コラム

作曲家の成瀬英樹です。

AKB48に20曲(うちトップ5ヒット4曲)提供しています。
2016年のミリオンセラー「君はメロディー」が代表作です。

2007年に「BINGO!」という楽曲でAKB作家デビューした僕は、2009年以降の空前のAKBブームも、乃木坂46を始めとする「坂道シリーズ」の台頭も、AKBのライバルたち「ももクロ」や「アイドリング!」などのブレークも横目で見ながら体感をしてきました。「AKBチーム」の一員と勝手に自認していた僕は「頑張れAKB!」と心で応援しながら、日夜楽曲作りに勤しんでいました。

かといって僕は日本のアイドルに特別詳しいわけでもなく、どちらかと言えば疎かった方だと思います。
「おニャン子」も「ハロプロ」にも一切興味はありませんでした。

しかしながら、秋元康さんの仕事ぶりには、昔から非常に興味を持っており、元々は学生時代に「ザ・ベストテン」の構成作家をされていてサザンオールスターズのブレークに一役買ったり、「おニャン子」や「とんねるず」とともに時代とあいまみれたと思いきや、美空ひばりさんの「川の流れのように」で普遍性をもその手におさめたり。
数々の映画の企画で大ヒットを飛ばしたり、歩くエンタメ事典のような方ではないか、と。

運よく2007 年以降、秋元さんと仕事でご一緒出来るようになり、何度かゆっくり食事をする機会もありました。
僕からみた秋元さんは「若手にチャンスを与えることが何より好きな、仕事と人間が大好きなアニキ」のような方。

数年前、当時中学生の娘が欅坂46に完全にハマり、夏休みの自由研究で欅坂をモチーフとした作品を作ったのです。
とてもよくできていたので、僕はそれを写真に撮りSNSにアップしました。
それがなぜかネットニュースになってしまったのです。「AKB作曲家の娘の欅坂愛!」と。
そのネットニュースを最初に見つけてくれたのが、なんと秋元先生で、それを知らせる直接LINEをくれたのでした。

「娘さんに、ありがとう、と伝えて。いつでもコンサート、観にきてください、とも」と。

その年末の欅坂46のファーストライブに本当にご招待いただき、僕たち親子は一生忘れられない思い出を作ることができたのです。
それ以来、秋元先生はお会いするたびに「娘さんは元気?」と気にかけてくれるのです。

仕事には大変に厳しい方だと思います。
納得のいく作品が出来るまで、絶対に妥協はされない方だと。

いつ会食やパーティーでお会いしても、必ず烏龍茶を飲んでいらっしゃる秋元さん。
「先生はお酒はお呑みにならないのですか?」と僕が尋ねると「今夜も帰ってからもまだたくさん締め切りがあるからね」と微笑むのです。

すでに、ゆうに何百をこえる代表作を持ってる秋元さん。
それでも、今でも新しい作品を作り続けるその力こそ、「いつの時代でも活躍できる」秘技であり、僕が彼から一番吸収したいことです。

まだまだ僕も50を過ぎたばかり。
先生には追いつけなくても、これからも新しい作品を産み続けたい、そう思っています。

これからも、どこかで僕の名前を目にしてもらえるような、そんな作曲家でい続けます。
その時はじっくり聴いてもらえたら嬉しいです。

初回(マンスリー2021年3月掲載)
2回目(マンスリー2021年4月掲載)

【プロフィール】


成瀬 英樹
作曲家

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1997年TBS 系ドラマ「友達の恋人」(瀬戸朝香・桜井幸子 主演)の主題歌「WONDER」でメジャーデビュー。 13万枚を超えるヒット
2001年から作曲家を目指し楽曲コンペに参加
2006年、AAAの6thシングル「Shalala キボウの歌」で作曲家デビュー。オリコン20位
2007年、作曲したAKB48の4thシングル「BINGO!」がオリコン6位まで上がるスマッシュヒット
これ以降AKB48初期の代表曲「ひこうき雲」や前田敦子のシングル「君は僕だ」「タイムマシンなんていらない」(ともにオリコン2位)などを作曲編曲
2016年、AKB48の43枚目のシングル「君はメロディー」が130万枚超のミリオンセラー!オリコン1位を獲得。年間チャートでも2位を記録
年末のNHK紅白歌合戦でも印象的な場面で歌唱される

<実績例>
・AKB48「君はメロディー」
・前田敦子「君は僕だ」