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2021.07.30【お役立ちコラム】エフィカシーを高めるコミュニケーション ~ 時間は未来から現在に向かって流れています~

コラム

プロコーチであり、経営コンサルタントでもあるシンク・エイ株式会社 代表 松本 浩氏はエルパ経営陣のコーチング講師としてもお世話になっています。

前回のコラム
「エフィカシーを高めるコミュニケーション ~ 大切な人の未来を信じていますか?~」
では「必ずできる!」と確信し未来に向けて応援する大切さを教えて下さいました。

今回は最終回、「時間は未来から現在に向かって流れています」です。

失敗は過去のもの。
成功する未来をいかに描いて信じるか。
「失敗は成功の基」の本質を分かり易く教えて下さっています。
「肩の力を抜いて、穏やかな気持ちで、未来から現在に流れる時間を感じながら日々を過ごしていきましょう。」(コラムより抜粋)
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先日、とある少年野球チームの保護者の方から相談をうけ、コーチングを行いました。
私は普段、ビジネスマンのコーチングがメインですが、無邪気で純粋な子供達とお話をするのはとても楽しかったです。

最初に相談をしてくれた少年の悩みは、

「僕は一番バッターです。試合の時、最初にバッターボックスに立つのですが、いつも緊張して打てません。応援してくれている人が多いほど緊張して打てません」でした。

この少年のマインド(脳と心)の状態を解説します。

彼は、これまでに何度か緊張して打てないという経験があり、その記憶が脳に刻み込まれ、ちょっと思い出すだけで、緊張している時の感情や、胃がキュッと引き締められるような体感、打てなかった時の映像がすぐに引き出されてしまいます。

そして、いつも最初のバッターボックスに立つ度にその記憶が頭をよぎります。

結果、打てなくなる。

人の脳は「慣れ親しんだ状態を維持しようとする」という特徴があります。
何度もネガティブな記憶を反すうしていると、脳にとっては、そのネガティブな状態が慣れ親しんだ状態となり「緊張して打てない自分が自分らしい自分である」という「自己イメージ」をつくります。
そして、その自己イメージを維持しようとして、きちんと「打てない自分」を実現するように脳は働きます。

では、どうしたらいいのでしょうか?

2つの観点でご説明します。
1つは、時間の流れを逆にすることです。

人は、過去の自分が今の自分をつくり、その延長線上に未来の自分があると考えがちです。
つまり、時間の流れは1「過去→現在→未来」と考えます。
「この前の試合で緊張して打てなかった、どうしても自分は緊張をしてしまう、つぎの試合でも緊張するだろう」と考えてしまうのです。

これをひっくり返すのです。
2「未来→現在→過去」と時間が流れていると思うことです。
どうでしょう、違和感がありますか?

実は、2の順番でも、違和感はありません。
例えば、あなたが、1か月後にピアノのレッスンの予定を入れたとします。
1か月たつと、それは現在になります。
そしてレッスンが終わったら、それは昨日の出来事(過去)になります。
そう考えれば、2の考え方も違和感はありません。

時間はどちらからも流れていないということは科学で分かっていることですが、人はどうしても1で考えがちです。
これを過去思考と言います。

しかし、楽に、楽しく、ハイパフォーマンスを出すためには2の考え方で常に考えることがとても重要です。
うまくいっている人の多くは2で考えています。

2「未来→現在→過去」を未来思考と言います。
終わったことは過去に流れていくだけです。

ちょっとイメージしてみてください。
あなたは川の上流方向をみて、川の中流に立っています。

川の上流が未来、中流が現在、下流が過去です。

中流(現在)に立って、上流(未来)に「ゴール(なりたい自分)」というボールを投げるのです。
するとそのボールは中流(現在)に流れてきて、現在で実現し終わったら下流(過去)に流れていきます。

仮にうまくいかなくてもそれは過去に流れるだけです。
うまくいかなくても、もう1回、上流にボールを投げればいい。
ただそれだけです。

この考え方に日々なれていくと、いつの間にかこの考えが当たり前になります。
そしたら日々穏やかな気持ちで毎日ニコニコして過ごすことができるようになります。
そして、思い描いたことが実現していきます。
もう過去の出来事で自分を縛るのは終わりにしましょう。

そして、もう1つ重要なこと、それは「自分を信じる力」です。
コーチングの用語では「エフィカシー」と言います。
エフィカシーとは「自分のゴールを達成する能力に対する自己評価」のこと。
ゴールを実現する上で最も重要なことは、このエフィカシーです。
「自分なら必ずできるという確信度合い」とも言えます。

「できると思えばできる」というのは認知科学の出した大切な結論です。
「先頭打者でバッターボックスに立った時、余裕で打てる自分」「どんなプレッシャーのかかる場面でも、確実に成果を出す、チャンスに強い自分」それが自分らしい自分だと先に確信することなのです。

そして、仮に失敗をしてしまった子供に向き合う親ができることは、エフィカシーを高めるように声をかけてあげることです。
「君ならできる」です。

過去に目を向けさせるような言葉をかけるのではなく、未来に目を向ける言葉をかけるのです。
「次はできるよ」「次はどうやったらできるか一緒に考えよう」と。
そして、子供の良いところは思いっきり褒めてあげましょう。
人は誰かに全力で応援されると、自分を信じられるようになり、凄まじいパフォーマンスを発揮します。

そして最後に。
応援する人も、自分自身を信じましょう。
つまり、子供を応援する親も自分自身を信じていること、これもとても重要なことです。

親のエフィカシーは子供に伝わります。
親も自分の望む、夢やゴールを持って、その未来を確信して、ニコニコしながら一歩ずつ自分の人生を歩んでいくことがとても大切なことです。

自分の未来を信じられる人は、人の未来を信じることができます。
肩の力を抜いて、穏やかな気持ちで、未来から現在に流れる時間を感じながら日々を過ごしていきましょう。

私がコーチングしたあの少年は、その後、緊張せずに打てるようになったそうです。良かった(^^)v


シンク・エイ株式会社
代表取締役 松本 浩
https://think-a.co.jp/
大企業を中心にとした様々な業種の企業向けに、複数プロジェクトにおいて、人の「マインド(脳と心)の使い方」に重点を置き、ゴール実現のためのコンサルティングとコーチングの実績多数。
心理学、脳科学、認知科学をベースとしたコーチング理論を習得し個人に対するパーソナルコーチ、組織に対するコーポレートコーチの両面にて活動中。
企業経営者、役員、リーダークラス、オリンピックアスリート、教育関係者(先生、生徒)、医師等を対象に2000名を超える個人及び組織のパフォーマンス向上を実現している。